【第128号】“Green Flash”低消費電力型スパコン
次世代スパコンで超有名になったスパコンですが、その将来はどうなっていくのでしょうか?
先日、IEEEが出版している“Spectrum”誌に、違った次世代のスパコンの話が掲載されていましたので、皆様にもご紹介したいと思います。
この記事では、UCバークレーで進められている“Green Flash”計画を紹介しています。“Green Flash”計画は、気象シミュレーション用に、携帯電話等で使われている低消費電力型のCPUを使ってスパコンを作ろうというものです。もちろん汎用のスパコンとはなりませんが、インテルやAMDのように汎用のCPUでなく、特定のアプリケーションにおいて性能を出せるCPUで十分だという考え方です。これは、セイモア・クレイが提唱していた「必要のないものは載せるな!」という考え方と一致しています。また、現在の携帯等に使われているプロセッサには倍精度演算ができるものが出現していますし、そのプロセッサ用のOS、コンパイラ、デバッガ、プロファイラ等も用意されています。
ところで、現在の気象シミュレーションは非常にメッシュが粗く、詳細なシミュレーションができません。今の精度は経度、緯度で2度以上(200km以上)、高度については25層程度の粗いメッシュ精度で計算しています。これをもっと精度よく計算するには、1.5km程度のグリッドで高度を100層程度にして計算する必要があるそうです。この精度で、自然時間の1000倍で計算するには、10ペタフロップスのシステムが必要となるようです。この計算を、例えばコア当たり2.8GhzのAMDのOpteron(5.6GFLOPS/CORE)で行うと170万コア必要となり、消費電力は179MW必要です。これは大規模な水力発電所に匹敵し、年間の電気代は約200億円になるようです。これに対し、携帯電話等に使われているコア当たり500MFLOPSのCPUを使うと、コア数は1,000万と驚異的な数字になりますが、消費電力はたったの3MWとなります。もちろんCPUの性能だけでなく、メモリバンド幅やプロセッサ間の通信速度も必要ですが、現在の低消費電力型のプロセッサにとっては、可能な数値だそうです。
このようなスパコンを開発すべく、UCバークレー校では“Green Flash”として開発が続けられています。もちろん、将来どうなるかは誰もわかりません。ただ言えることは、今後のスパコンは「世界一のマシンでどんな問題が解けるのか?」でなく、「自分にとって重要な科学的問題を解くにはどんなハードウェアが必要か?」に変わってくるということです。
以上、記事の要約を解説してみました。日本の「次世代スパコン」もできれば、これまでのクラスタ型スパコンの延長を考えるだけでなく、その次の世代のスパコンのあるべき姿を模索するプロジェクトとなって欲しいものです。
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